ハンガリーの国民食といえば何を思い浮かべますでしょうか?
いきなりそんなことを聞かれても困る方が大半の中、グヤーシュやラーンゴシュあたりはピンとくる方も多いのではないでしょうか。
正直のところ筆者は名前を知らないまま20年間食べて続けていた節があり、色々調べたのですがとあるパンがなかなかヒットしません。
ハンガリー人なら誰もが食べているあのパン、「カカオーシュチガ(Kakaós csiga)」があまり紹介されていないことに衝撃を隠せず、緊急紹介いたします!
この記事を読んだらダッシュでスーパーやパン屋に駆け込みたくなること間違いなしです。
目次
カカオーシュチガはどんな食べ物?
カカオーシュチガ(Kakaós csiga)のカカオ(Kakao)とチガ(Csiga)に分解してみましょう。
カカオ(Kakao)は文字通りカカオであったりチョコレートを意味する一方で、チガ(Csiga)は主としてカタツムリを意味する単語です。
このパンはまるでカタツムリのように渦を巻いているように見えることから、「カカオカタツムリ」と直訳しても違和感が全くありません。
味はさすがにカカオを使っているだけのことはあり、味は文字通りチョコレート味です。
ただし、使う生地が店によってまちまちで、デニッシュを思わせるようなサクサク系からしっとり系、モッチリ系まで多様です。
また、シナモンパウダーなどがトッピングされているものもあり、一口にカカオーシュチガと言っても味や食感は店によって十人十色です。
カカオーシュチガは朝ごはんに食べられることが多いですが、個人的にはおやつとしても重宝しています。
とある一家の誕生会から始まった?カカオーシュチガの意外な歴史
さて、今でこそハンガリーの超国民的なパンとして親しまれているカカオーシュチガですが、このパンにはどのような歴史があるのでしょうか。
実のところこのパンは20世紀初頭に生まれたといわれており、しかもブダペスト郊外のゲド(Göd)のとあるパン職人一家の誕生会がその発端だったとされています。
そのパン職人一家の誕生会で余ったパンをチョコラーデーシュ・テケールゲ(Csokoládés tekerge)として売りに出してみたところ、飛ぶように売れたのが事の発端です。
なお、チョコラーデーシュ・テケールゲは直訳するとチョコレートを回したものというようなものになります。
これが名称を変えてカカオーシュチガとなり、今に至ります。
これを機にカカオーシュチガの生まれ故郷のゲド(Göd)まで足を運ぶのもいいでしょう。
カカオーシュチガはどこで食べれる?
結論からいうとスーパーからパン屋までほぼどこでも買えます。
スーパーのパンコーナーに行けば必ず置いてありますし、パン屋(Pékség)ならなおのこと置いてあります。
また、鉄道ターミナル構内のスタンドでも大抵の場合、カカオーシュチガを取り扱っていることが多いです。
市場、あるいはその場外スタンドにあることだって珍しくありません。
店にもよりますがカカオーシュチガの価格は1個あたり180~200フォリント前後です。
ちなみにブダペスト市内での筆者のお気に入りはハーロム・タールカ・マチュカというパン屋のカカオーシュチガです。
実は周辺国でも食べれる?
カカオーシュチガの生まれた20世紀初頭と言えばハンガリーの領土が今よりも広かった時代です。
そしてその名残なのか、北に隣接するスロヴァキアでも国民食のように親しまれています。
スロヴァキア語ではカカオヴィー・スリマーク(Kakaový slimák)と呼ばれ、言語こそ違えど意味は全く同じです。
しかもハンガリーと同様にスーパーやパン屋に行けば必ずといっていいほど置いてあります。
味はハンガリーのものと変わらず美味しいです。
ハンガリーの朝はカカオーシュチガから始めよう!
今回はハンガリーの超国民的なパン、カカオーシュチガについて紹介してきました。
20年以上通っている筆者にとってはさも当たり前のように食べていたカカオーシュチガでしたが、まさかとある一家の誕生会に端を発して広まったという歴史には驚きました。
次回訪れるときはぜひカカオーシュチガの生まれ故郷であるゲド(Göd)を訪ねたいと思います。
ということで読者の皆様、ハンガリーに来られる際には朝ごはんはカカオーシュチガでスタートしてみてはいかがですか?