筆者はジェール(Győr)という街に対して学生時代から並々ならぬ興味を持っていました。
具体的に何が見たいというよりは国際列車が東北新幹線みたいな頻度で停車していてなおかつ国境にも近いジェール(Győr)に何があるのか気になっていたというのが正直なところです。
ブダペストからオーストリア方面へ行く人は素通りになりがちなジェール、街に出ればそれは即ち「ワオ」でした。
目次
ジェールってどこ?
ジェールはハンガリー北西部に位置する都市で、首都ブダペストからは約120㎞程度離れています。
オーストリア国境からも遠くはなく、ジェールはブダペストとウィーンの中間地点になっています。
ジェールにはオーストリア方面の全ての国際列車が停車すると共に南はバラトン湖の主要都市ケストヘイ方面とも繋がっている拠点駅になっています。
加えて、スロバキアとの国境も近いことからジェールは鉄道と道路の交通の要衝として重要な都市です。
ジェールの旧市街はもはや迷路!?見どころ紹介
ジェールについて1つ確証を持って言えることがあるとすれば、ブダペストとは全く異なる趣のある旧市街があるということです。
一体どういうことなのか、見ていきましょう。
迷路な旧市街にはブダペストと異なる趣が...
旧市街に入ると区画の大部分は車両の進入禁止、つまり歩行者天国です。
ブダペストのように碁盤の目に近い形状じゃないばかりか、道が複雑に入り組んでいてあっという間に方向感覚が崩壊します。
気が付けば狭い階段を上って「ここどこ?」ってなることもしばしありました。
ちなみに旧市街で高台になっているところにたどり着くとジェール大聖堂があります。
それにしても旧市街区域の建物を見ているとカラフルな感じがハンガリーにいるというよりどこか別の国にいると錯覚しそうです。
事実、マリア・テレジアの時代に自由都市に指定されたこともあったため、オーストリアから少なからぬ影響を受けていたことは確かです。
セーチェーニ広場のジェーリ・ベンツェーシェク・ロヨライ・セント・イグナーツ教会
迷路みたいな旧市街の中で唯一広くひらけた場所があります。
それはセント・イグナーツ教会(Győri Bencések Loyolai Szent Ignác Temploma)に見守られたセーチェーニ広場です。
バロック様式で出来たこの教会は広場を見下ろすにふさわしい規模ですが、少々クセのある教会でもあります。
実はこの教会、厳密には2つの建物に挟まれています。
撮影当時は片側が修復工事中で全容は撮れませんでしたが、この教会は高校と宗教関連施設にそれぞれサンドイッチされています。
なお、広場には飲食店もテラス席を置いているので、休憩スポットにもうってつけでしょう。
ジェールに残る城壁跡
ジェールにはドナウ川の支流、ラーバ川が流れており、旧市街の一部の外郭では川に沿うようにできた城壁跡を今でも見れます。
15世紀にオスマン帝国が統治する直前に跡形もなく焼き払われており、ジェール復興の際に城壁に囲まれた都市になりました。
その一部が現在でも見られるというわけです。
城壁の向こうには旧市街の高台にそびえる教会もよく見えて見ごたえのあるスポットです。
ジェールが生み出した国民的菓子ブランド
ハンガリーにはピロータ(Pilóta)と呼ばれる超がつくほどの国民的お菓子があります。
筆者もハンガリー土産に必ず買うピロータですが、ジェールはそんな国民的お菓子の生みの親でもあるのです。
ピロータをはジェーリ(Győri )というブランドのもと製造されており、そのジェーリの始まりの地がまさしくここジェールだったのです。
写真のチョコバニラリングの他にビスケットなどもありますのでスーパーでぜひ探してみてください。
ジェールへのアクセス
冒頭でも述べましたように、ジェールはアクセスがとても便利です。
ブダペストから行く場合、下記の2通りになります。
- ブダペスト東駅からインターシティ電車(ソンバトヘイ、ショプロン、セントゴットハルト方面)、国際列車(オーストリア方面)
- ブダペスト南駅から普通列車(ジェール行)
最速はブダペスト東駅からのルートで1時間半程度ですが、指定席料金も必要になるルートなので割高になります。
他方、ブダペスト南駅からは普通乗車券だけで利用できますが、所要時間は2時間と伸びます。
なお、ブダペスト~ジェールのバスはありそうでありません。
また、参考までにジェールからはローカル線でタポルツァやケストヘイとも結ばれています。
ジェールの旧市街で好きなだけ道に迷ってみよう!
今回は交通の要衝ジェールについて紹介してきましたが、交通の要衝の一言で片づけるにはあまりにもったいない街です。
のんびりした旧市街に入ればタイムスリップした感覚で思い思いに気になる道に入ってみるのもいいでしょう。
そこには隠れた名店もあるかもしれません。
アクセスも便利ですので、ぜひ寄り道にいかがですか?