ハンガリーの国民食といえばパラチンタ、ラーンゴシュなど多数ありますが、ハンガリーの食文化を語る上で避けては通れない料理が「グヤーシュ(Gulyás)」です。
ハンガリー料理とはいえ何かと周辺国で食べる機会も多いこの料理ですが、実は意外な国にも伝わっていたのはご存知でしょうか?
スープと言えばいいのかシチューと言えばいいのか未だに悩むこの料理について今回は紹介していきます。
目次
グヤーシュってそもそもどんな料理?
そもそもグヤーシュとはどういう料理なのでしょうか?
グヤーシュ(Gulyás)は厳密にはグヤーシュレウェシュ(Gulyásleves)で、直訳すると「牛飼い汁」になります。
この料理に絶対に欠かせないのがパプリカで、グヤーシュの汁の赤さもパプリカに由来しています。
他によく入る具材としては牛肉、玉ねぎ、野菜(とりわけニンジンが定番)などが挙げられるのですが、実は各家庭や店、地域ごとに様々です。
中には牛肉の代わりに鶏肉を入れるなんていう人も見たことがあります。
レストランでも必ずと言っていいほどグヤーシュは食べる機会がありますので、ぜひチャレンジしてみてください。
スープかシチューかって?ハンガリーでは基本的にスープですが、作り手によってとろみが強かったりすることもありますね。
ハンガリーの代名詞的表現としても使われた?
ハンガリーの「超」がつくほどの国民食であるがゆえに料理を表すのみならず、ハンガリーを表す代名詞として使われることもありました。
例えば「グヤーシュ共産主義」です。
思い返せば冷戦期のハンガリーは旧ソ連の影響下におかれ、長らくの間共産体制が敷かれていました。
しかし、ハンガリーでは1956年の動乱以降、共産圏にありながら積極的な経済改革や西側との一定の交流を伴う独自性の強い政権運営を行っていたことからグヤーシュ共産主義と呼ばれるに至りました。
(良かったか悪かったかはまた別の話ですが、ここでは割愛させていただきます。)
周辺国にもあるけど....風味が違う?
ハンガリーの代名詞と言っても差し支えないグヤーシュですが、冒頭でも言及しましたように周辺国でも食べる機会は意外に多いものです。
ただ、周辺国で食べられるとは言っても一部の国ではハンガリーとは風味がかなり異なるのをご存知でしょうか。
ハンガリーで食べられる、いわば「元祖」のグヤーシュは基本的に「スープ」であるのに対し、オーストリアなどドイツ語圏ではとろみの効いた「シチュー」になっています。
(実際のところ家庭ごとに風味は多用なので一概には言えませんが....)
さて、そんなグヤーシュですが、第1次世界大戦までハンガリー領だったスロバキア、ルーマニア西部、クロアチア北部、セルビア北部、スロヴェニアの一部に加え、オーストリア、チェコ、ドイツ、ポーランド、北イタリアなどでも食べられます。
なお、参考までにハンガリー語のスペリングはGulyásですが、ドイツ語ではGulasch、英語ではGoulashと変化します。
実は大陸の反対側にも伝わったグヤーシュ
実のところグヤーシュが伝わったのは欧州内にとどまりません。
なんと大陸の反対側のモンゴルにも伝わって「グリヤシ」というモンゴル料理へと変化しました。
モンゴルではパプリカは育たたないのでパプリカ抜きになっており、基本的に米にかけて食べます。
それ以外の具材や作り方についてはハンガリーと少々異なる程度ですが、実態は肉と野菜の塩煮に近いでしょう。
ハンガリーに来たらグヤーシュはMUST!
今回はハンガリーの代名詞的な料理、グヤーシュについて紹介しました。
ハンガリーに限らずドイツなど周辺国でも食べれるのでレストランのメニューで試しに探してみて下さい。
ハンガリー国内でも店や地域によって味が変わるのでぜひ、ハンガリーに来たらグヤーシュのバリエーションを満喫していただきたいです。
機会があればモンゴルのグリヤシも食べてみたいですね(笑)。