かつてオーストリア=ハンガリー二重帝国を構成していたハンガリーですが、二重帝国時代の面影を残す建物というのは実のところあまり多くは残っていません。
そんな中において帝国王室の生き様など、帝国時代の面影が色濃く残るところがゲデレー(Gödöllő)にはあります。
(ゲデレーとは言いますがよりハンガリー語の発音に忠実になるならグェドゥッルーの方が近い気もします笑)
今回はブダペストから最短30分でいけるゲデレー宮殿(Gödöllői Király Kastély)について紹介していきます。
目次
帝国時代の様子を今に伝えるゲデレー宮殿
ハンガリー国内の殆どの宮殿は博物館などに改築されたりしている中で、ゲデレー宮殿は数少ない原型をとどめた宮殿としても知られています。
そんなゲデレー宮殿はいったいどんな宮殿なのか、どんな人物が関わったのか見ていきましょう。
ゲデレー宮殿の概要
ゲデレー宮殿は18世紀にグラッシャルコヴィッチ男爵家によって造営されたのが始まりで、このような経緯からグラッシャルコヴィッチ宮殿とも呼ばれています。
建物はバロック様式で造られており、ハプスブルク家の黄金時代を築いたマリア・テレジアも訪れたとされています。
その後グラッシャルコヴィッチ男爵家が断絶すると所有者はたらいまわしのごとく変わりますが、帝国王室と本格的に関わるようになるのは造営から100年が経った1857年のことでした。
当時のオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世とエリザベート皇后がハンガリー旅行の際にゲデレー宮殿に滞在するのですが、エリザベート皇后はゲデレーをたいそう気に入ったのです。
さらに10年後の1867年にフランツ・ヨーゼフ1世はハンガリー国王としての戴冠式(アウグスライヒ)をゲデレー宮殿で行い、エリザベート皇后もゲデレー宮殿を気に入っていたことから宮殿の所有権はほどなくして王室へと渡りました。
なお、エリザベート皇后はどれくらいゲデレー宮殿を気に入っていたかというと、ウィーンよりもゲデレーにいる時の方が多かったとさえ言われるほど気に入っていたようです。
東洋を彷彿とさせるゲデレー文様
ゲデレー宮殿で見られる食器の中で一部特徴的なグループがあります。
見るからに中国を思わせるような磁器などがみられるのです。
これらは確かに「西安の赤」と言われるように東洋を意識したものではありますが、実は東洋からの輸入品ではありません。
フランツ・ヨーゼフ1世の注文により、ハンガリーのヘレンド社に作らせた、メイド・イン・ハンガリーなのです。
そんな「西安の赤」はエリザベート皇后に贈られ、やがてゲデレー文様と呼ばれるようになります。
執務室など当時のままに
ゲデレー宮殿の見どころは何と言っても当時のまま残されている部屋です。
ゲデレー宮殿は半分は赤を基調とした皇帝の部屋(執務室など)、残りの半分は青を基調としたエリザベート皇后の部屋になっています。
例えばこの写真はエリザベート皇后の化粧室です。
家具などがほぼ当時のまま残されており、当時の生活ぶりが垣間見えます。
入場料、営業時間
入場料、営業時間等については下記の通りです。
なお、館内にはお手洗い、カフェも完備されています。
- 営業時間:10:00~17:00
- 定休日:月曜日~木曜日
- 入場料:4600フォリント
- 公式HP:Royal Palace of Gödöllő
ゲデレー宮殿へのアクセス
ゲデレー宮殿へのアクセスは主に2通りあります。
1つはハンガリー国鉄(MÁV)、2つはHÉV(郊外電車)です。
詳しく見ていきましょう。
ハンガリー国鉄(MÁV)なら最短30分!
ハンガリー国鉄を利用する場合、ブダペスト東駅からエゲール行快速(IR)、ジェンジェシュ行快速(IR)でゲデレーまで最短25分で着きます。
それらに加えてゲデレー行各駅停車も運行されており、終点ゲデレーまで約40分です。
駅から宮殿までは10分程度の徒歩です。
エゲール行快速、ジェンジェシュ行快速、ゲデレー行各駅停車はそれぞれ1時間に1本ずつ運行されているため、実質1時間に3本が運行されていることになります。
ブダペスト東駅からゲデレーまでの運賃は745フォリントですが、ハンガリー国鉄のアプリから購入すると708フォリントまで割引されます。
詳しくはハンガリー国鉄のHPよりどうぞ。
HÉV(郊外電車)では宮殿の真ん前まで直行可能!
地下鉄M2号線の終点であるエルシュ・ヴェゼル・テレ(Örs Vezér Tere)からHÉV(郊外電車、Suburban Railway)がゲデレーまで運行されています。
運行頻度は時間帯によって15分~30分に1本で、所要時間は約50分です。
郊外電車では終点の2つ手前のサバドシャーグ・テール(Szabadság tér)で降車すると宮殿まで徒歩5分足らずです。
運賃は600フォリントになります。
郊外電車の運賃体系はこちらのサイトからどうぞ。
ブダペストからサクッと日帰りでゲデレー宮殿へ!
今回はブダペストの郊外に建つゲデレー宮殿について紹介してきました。
数少ない二重帝国時代の面影をまんべんなく見れる名所になっているので、世界史が好きな人はもちろん、そうでない方にもおすすめなスポットです。
ブダペストからも最短30分程度でアクセスできるので、ゲデレー宮殿へサクッと日帰り旅行してみてはいかがでしょうか?