東京には東京駅、品川駅、上野駅、渋谷駅、新宿駅、浅草駅など、とにかくターミナル駅と呼ばれる駅が多いです。
実はブダペストにも同じことが言えます。
意外ではありますがブダペストも行き先や列車種別ごとにターミナル駅が分散しており、事前に知っておかないと面倒なことになります。
中には同じ行き先でも優等列車と普通列車では発着駅が違うということもありがちです。
ということで、今回はブダペスト市内の各ターミナル駅について解説していきます。
目次
ブダペスト西駅(Budapest Nyugati Pályaudvár)
最初に紹介するのはブダペストの中枢に最も近いロケーションにあるブダペスト西駅(Budapest Nyugati Pályaudvár)です。
あのギュスターヴ・エッフェルが手掛けた駅舎が特徴的なブダペスト西駅ですが、ここからはどんな列車が発着しているのでしょうか。
ツェグレード(Cegléd)、ソルノク(Szolnok)、デブレッツェン(Debrecen)方面
ハンガリー留学でよく耳にするデブレッツェン行のインターシティ電車とIR(Inter Regio)電車は全てブダペスト西駅発着です。
また、ルートの途中にあたるフェリヘジ(Ferihegy, ブダペスト空港最寄)、ツェグレード(Cegléd)、ソルノク(Szolnok)へ向かう全系統の列車がブダペスト西駅から発着します。
一部のインターシティ電車はデブレッツェンからさらにニーレジハーザ(Nyíregyháza)、トカイ(Tokaj)、ミシュコルツ(Miskolc)方面へ直通します。
ケチュケメート(Kecskemét)、セゲド(Szeged)方面
ツェグレードから分岐して南へ向かうルートがあります。
ツェグレードから分岐してケチュケメート(Kecskemét)、学研都市として知られるセゲド(Szeged)へ向かうインターシティ電車もブダペスト西駅発着です。
セゲド大学へ留学するということであれば、ブダペストからのアクセス方法はインターシティ電車のみになるので留意してくださいね。
ダバシュ(Dabas)、ラヨシュミジェ(Lajosmizse)方面
これまでに紹介してきた上記の列車は全てケーバーニャ・キシュペシュト駅というサブターミナルを経由しており、そこから分岐しているのがダバシュ、ラヨシュミジェ方面の列車です。
この列車も全てブダペスト西駅発着となっており、普通列車のみの運行となっています。
余談ですがラヨシュミジェ駅ではケチュケメート行と接続しており、ケチュケメートまでのバイパス路線にもなっています。
エステルゴム(Esztergom)方面
エステルゴム大聖堂やスズキ自動車のハンガリー工場でおなじみのエステルゴムへの列車は全てブダペスト西駅発着です。
なお、エステルゴム行は区間快速のみの運転となっています。
ヴァ―ツ(Vác)、ソブ(Szob)方面
ドナウ川の左岸に沿って北上していくルートで、このルートの列車は全てブダペスト西駅発着です。
ヴァ―ツ(Vác)止まりの普通列車に加え、さらに北上するソブ行の区間快速列車、詳しくは後述しますが国際列車もあるので本数が充実しています。
余談ですが、この区間ではハイキングスポットも多いので日帰りハイキングにもおすすめです。
国際列車(スロバキア、チェコ、ポーランド)
一昔前まで国際列車は全てブダペスト東駅に集約されていましたが、今では各方面ごとに分散しています。
そのため、例えば同じスロヴァキアでも目的地の都市によってブダペスト側の発着駅が異なるということもあるので要注意です。
ブダペスト西駅から発着している国際列車は下記の通りです。
- メトロポリタン・ユーロシティ:ブラチスラバ(スロヴァキア)、プラハ(チェコ)方面行
- ユーロシティ(ウクライナ方面):ワルシャワ(ポーランド)
ブダペスト東駅(Budapest Keleti Pályaudvár)
続いて紹介するのはブダペストで国際列車の発着本数が最も多いブダペスト東駅です。
かつては全ての国際列車が東駅に集約されていた時期もありました。
ウクライナ侵攻が始まる前まではモスクワまでベラルーシを経由していく列車もブダペスト東駅から運行されていました。
東駅から発着する主な国際列車(ルーマニア、オーストリア、ドイツ、スロバキア、ウクライナ)
ブダペスト東駅から発着している国際列車は下記の通りです。(2024年7月時点)
- レールジェット又はユーロシティ:ウィーン(オーストリア)、ザルツブルク(オーストリア)、ミュンヘン(ドイツ)
- インターシティ電車:グラッツ(オーストリア)
- ユーロナイト:ザルツブルク(オーストリア)
- インターシティ電車(ルーマニア行):アラド、クルージュ・ナポカ、オラデア、ティミショアラ、ブラショフ、ブカレスト
- その他インターシティ電車:コシツェ(スロバキア)、リュブリャナ(スロヴェニア)
- ウクライナ方面:一般旅客は乗車不可
一時期チューリッヒからの運行もありましたが、2024年7月時点において確認できていません。
スロヴェニア行の国際列車も2024年7月時点において東駅発着になっていますが、同年3月時点では南駅発着だったため、発着駅は随時チェックしておいた方が良さそうです。
また、スロバキア第2の都市コシツェについては西駅ではなく東駅発着になるので要注意です。
なお、上記の列車は全て全席指定席となっています。
ソルノク(Szolnok)、ベーケーシュチャバ(Békéscsaba)方面
実はソルノクは西駅のみならず東駅からのアクセスも可能です。
ソルノクまでは区間快速にあたるZ60や快速G60で1時間半程度、ベーケーシュチャバ行のインターシティ電車ならもっと早く到着できます。
なお、ベーケーシュチャバ行のインターシティ電車は終着までルーマニア行のインターシティ電車と併結運転を行うことが多いです。
ドンボーヴァール(Dombóvár)、カポシュヴァール(Kaposvár)、ペーチ(Pécs)方面
学研都市で、日本人留学生も多いペーチへはインターシティ電車(全席指定席)で東駅からの発着となります。
途中シャールボガード、ドンボーヴァールなどを経由します。
なお、シャールボガードまでの途中駅については後程紹介する南駅発着の普通列車を乗り継ぐことになります。
カポシュヴァール行インターシティ電車についてはドンボーヴァールこそ経由するものの、ペーチ行とは大きく異なるルートを通りますので、お乗り間違えのないよう、ご注意ください。
ジェール(Györ)、ショプロン(sopron)、ソンバトヘイ(Szombathely)、セントゴットハルト(Szentgothart)方面
ジェールは先述のオーストリア、ドイツ方面の各列車も停車する主要駅です。
大半の列車はジェールを過ぎるとそのまま国境を越えていきますが、残りの半分はジェールから分岐してショプロン、ソンバトヘイへ向かうインターシティ電車(全席指定席)が運行されています。
セントゴットハルトについてはグラッツ行(オーストリア)のインターシティ電車がソンバトヘイを超えて国境前最後の駅として停車します。
なお、セントゴットハルトはハンガリー最西端の駅です。
ちなみにですが、ジェールまでは他にも南駅から普通列車も運行されています。
ミシュコルツ(Miskolc)、トカイ(Tokaj)方面
ミシュコルツ、トカイ方面については西駅からデブレッツェン(Debrecen)を経由して直通するインターシティ電車もありますが、東駅からの方が近いです。
一部のインターシティ電車はトカイからさらにニーレジハーザを経由してデブレッツェン方面まで直通する列車もあります。
また、コシツェ行(スロバキア)のインターシティ電車とシャートラルウイヘイ行を途中のミシュコルツまで併結運転する運用もあります。
エゲール(Eger)、ジェンジェシュ(Gyöngyös)方面
エゲールとジェンジェシュへはいずれも全席自由席の快速列車(InterRegio)が運行されています。
また、途中のゲデレーまで各駅に停車する各駅停車も併せて運行されています。
時間帯によっては二階建ての車両が充当されることもあり、2階席からの眺めは絶品です!
ブダペスト南駅(Budapest Déli Pályaudvár)
最後に紹介するのはブダペストのブダ側にあるターミナル、ブダペスト南駅です。
荘厳な雰囲気の西駅や東駅とは雰囲気が大きく異なる、共産時代の名残を色濃く残す駅舎になっています。
一部国際列車が南駅からも発着しています。
セーケシュフェヘールヴァール(Székesfehervár)、ヴェスプレーム(Veszprém)、バラトン地域、ザラエゲルセグ(Zalaegerszeg)方面
バラトン湖の沿岸地域へ向かう列車は全てブダペスト南駅からセーケシュフェヘールヴァールを経由して発着しています。
セーケシュフェヘールヴァールでバラトン湖南岸、北岸、そのさらに北を回る3ルートに分岐します。
南岸ルートではシオ―フォクを経由してケストヘイ、又はザラエゲルセグ、ナジカニジャへ、北岸ルートでは洞窟カヤッキングで有名なタポルツァへ、そのさらに北を回るルートではヴェスプレームを経由してソンバトヘイ又はザラエゲルセグへ向かうインターシティ電車がそれぞれ運行されています。
そう、実はソンバトヘイへは先述した東駅に加えて南駅からでも行けるのです。
なお、途中のセーケシュフェヘールヴァールまでは区間快速(Z30)も運行されており、南岸ルートも一部区間まで快速列車が運行されています。
各種普通列車、区間快速列車
南駅は優等列車よりも普通列車の方が発着本数が多い駅です。
南駅から発着する主要な普通列車は主に下記の都市へ向かいます。
インターシティ電車が満席だった場合にバイパスルートとして使えるので参考になれば幸いです。
- タタ(Tata)、ジェール(Györ)
- オロスラーニ(Oroszlány)
- ドゥナウイヴァーロシュ(Dunaujváros)
- プスタサボルチュ(Pusztaszabolcs)(シャールボガード行と接続)
- セーケシュフェヘールヴァール(Székesfehervár)(区間快速列車、シャールボガード行と接続)
国際列車(クロアチア、オーストリア、チェコ)
2024年3月時点ではスロヴェニア国鉄の車両もよく見かけた南駅でしたが、夏ダイヤでは東駅に発着場所が変更されることもあります。
それに留意しつつ、南駅から発着している国際列車をリストアップしていきます。
- インターシティ電車:ザグレブ(クロアチア)、リュブリャナ(スロヴェニア)
- レギオジェット:ウィーン(オーストリア)経由プラハ行(チェコ)
ブダペストのターミナル駅を正しく使い分けよう
今回は情報量たっぷりな回になり、目が疲れたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それくらいブダペストでは同じ行き先でも列車種別や経路によって発着駅が異なることも往々にしてあるため、自分の乗る列車がどこから出るのかダブルチェックしておくといいでしょう。
時期やダイヤ改正などによって発着場所が変わっている可能性も否めないため、なおのことダブルチェックは欠かせません。
また、インターシティ電車が満席になったとしても発着駅を変えてバイパスルートを作ることもできたりするので、知っておいて損はないでしょう。
今回は鉄道ターミナルでしたが、別の記事でブダペストの主要なバスターミナルについても紹介しているのでぜひご参照ください。