ハンガリーに滞在するたびにいつも不思議に思う主食がありました。
食感はもっちりしていてどこかニョッキを連想させるようなものがあったのですが、形が違うので少なくともニョッキではありません。
恥ずかしながら長年、これを何というのか分からなかった筆者ですが、その正体は「ノケドリ(Nokedli)」であることを最近になってようやく分かりました。
ということで、今回はハンガリーの食卓でなんだかんだよく登場する主食、「ノケドリ(Nokedli)」について紹介していきます。
目次
ノケドリ(Nokedli)ってどんな食べ物?
ノケドリ(Nokedli)は卵と小麦粉を使った「麺」です。
そのため、英語圏ではエッグ・ヌードルの1種として紹介されることも多いですね。
色は卵の量などによって白かったり黄色がかっていたりします。
ノケドリは「麺」ですので、主食として食べられます。
そんなノケドリの特徴はなんといってもニョッキを連想させるようなモッチリとした食感です。
グヤーシュやグヤーシュにそっくりなシチュー「ペルケルト(Pörkölt)」などのお供として食べられることが多いです。
筆者は個人的にとろみのあるシチューと一緒にノケドリを食べるのが好みですが皆さんはいかがでしょうか?
ノケドリはドイツ系民族にルーツがあるらしいけど....
ノケドリのルーツを辿るとドイツのシュペッツレという食べ物にたどり着きます。
このシュペッツレが何らかの形でハンガリーに伝わった結果、現在のノケドリになるわけですが、発祥地は現在でも不明です。
ただ、シュペッツレはドイツ南部のシュヴァーベン地方の食べ物として広く認知されており、シュヴァーベン人はハンガリーにも多く住んでいました。
そのため、ノケドリはドイツ系のシュヴァーベン人にルーツがあるであろうといえるわけです。
豆知識:ノケドリを使ったことわざ
さて、ドイツ系のシュヴァーベン人にルーツがあるらしいノケドリですが、ハンガリーでとあることわざを生みました。
Nyeli mint kacsa a nokedlit(ニェリ・ミント・カチャ・ア・ノケドリット)
直訳すると「まるでカモがノケドリを飲み込むがごとし」といったところでしょうか。
これはカモが次から次からへと口ばしを震わせながら勢いよく食べ物を飲み込むさまからこのことわざができています。
そのため、早食いの人に対してこのことわざを使ってペースを落とさせる場面もよくあります。
(ハンガリーで早食いはマナー的にあまりよろしくないので....)
なるほど、日本の立ち食い蕎麦はある意味このことわざ通りなのかも知れないと思うとなんとも興味深いものです。
ハンガリーの食卓と文化を彩るもっちり食感のノケドリ!
今回はドイツ系民族から伝わり、今に至るまでハンガリーの食卓を彩ってきたノケドリについて紹介しました。
食卓のみならずことわざでハンガリーの文化をも彩っていたんですね。
もっちり食感のノケドリはとろみのある料理との相性が抜群です。
レストランなどでシチュー系の料理を頼むと大抵の場合ノケドリが主食になることが多いので、ぜひチャレンジしてみてください。